きみへの想いを、エールにのせて

奥寺先生は、勧誘がうまくいってないことを知っている。
「ふー」と大きな溜息をつきながら、私の肩をバンと叩いた。


「諦めるな」

「はい」


体育教師らしく、扱いはガサツだけど、ハートは熱い。

スポーツの厳しさも辛さも自分が経験してきたからか、故障を抱える結城君の苦しい気持ちも理解してくれている。

それに、こっそり生徒に勧誘作業をしてくれているという噂も聞いた。


でも、だ。
体育で水泳ができそうな人に声をかけてくれたのにもかかわらず、部員が集まらないというのは、お手上げの状態。

ホントにこのまま消滅?


「榎本、次を読め」

「えっ、はい……。どこ、ですか?」

「まったく、なにをボーッとしている!」


その日はちっとも授業に身が入らなかった。
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