きみへの想いを、エールにのせて

「やっぱり来たか」


その日の帰り、私の足は8組に向かっていた。


「お話があります」

「ん、いいよ?」


ニヤリと笑う香川君は、私を促して中庭に向かった。

チラホラ生徒はいるものの、誰も私たちのことなんて気にとめない。
ごく普通のカップルが、話をしているように見えるのだろう。

そう、"カップル"が。


「で?」


彼は、きっと私がなにを言いに来たのかわかっているくせに、自分からは言おうとしない。


「水泳部に、入ってくれませんか?」


彼の目を真っ直ぐに見つめそう口にすると、「ふーん」と彼は口を開いた。


「それは、俺の女になるってこと?」


彼は余裕の笑みを浮かべ、腕を組んだ。


「香川君は、私のことなんて好きじゃないでしょ?」


私が好きだから付き合いたいという態度ではない。
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