きみへの想いを、エールにのせて
「そうだな。これから好きになればいいだろ?」
「それなら私じゃなくても……」
「お前だからだよ!」
彼が突然声を荒げるから、体がビクッと震えてしまう。
「結城もお前のこと好きなんだろ?」
「そんなことない」
慌てて首を振って否定する。
私が一方的に好きなだけ。
「まぁ、いい」
突然冷静さを取り戻した彼は、もう枝だけになってしまった大きな桜の木にもたれかかった。
「それで、俺と付き合うのか?」
ドクドクと胸の鼓動が速くなる。
覚悟を決めたはずなのに、心の奥のなにかが私を止める。
「あの……」
手が震える。
入試の時でさえ、こんなに緊張しなかったのに。
「あの……」
「なに? 付き合うつもりがないなら、行くけど」
「待って!」
本当に私に背中を見せた香川君を思わず引き留めた。