きみへの想いを、エールにのせて

結城君はなかなかの滑り出し。
浮かび上がってくると、頭ひとつ分リードしている。

水の上を滑るように泳ぐ結城君は、あっという間に後続を引き離し始めた。


「すごい」


向かうところ敵なしというのは、きっとこういうことを言うのだろう。
50メートルのターンをする頃には、ほぼ優勝が決まったと言っていいほどの差ができていた。

しかも後半に強い結城君は、その後も危なげなく泳ぎ続け、見事1位でフィニッシュ。

全国大会でないからか、あのガッツポーズは見られなかったけれど、タイムは56秒31。
全中のタイムを上回っての優勝だった。


「おめでとう」


届くわけがないとわかっているのに、口から勝手に飛び出してしまう。


プールから上がり一礼した彼は、自分のクラブチームの応援団の方に手を挙げて、声援に応えたかと思うと……。
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