恋は天使の寝息のあとに
「そうかなー? 顔、似てない?」
「遠すぎて顔なんて見えないよ」
「私、視力2.0あるからさ」
「すごいっ!」
私たちが背後から送る視線なんて気づかずに、そのカップルはのんびりと歩き続けている。
向かう先は、たまたま私たちの目指す方向と同じ。
しばらくして、彼らが道を曲がった。
同じ道を辿るべく、私たちは横断歩道の信号が変わるのを待つ。
「やっぱり似てると思うんだけどな」
「まさか。彼女がいるなんて聞いたことも無いし」
「いないって、聞いたの?」
「……そういうわけじゃないけど」
確かに、彼女がいないなんて聞いたわけでもないが、いる素振りが全くなかったのも事実だ。
だって、今まで、土日はずっと私たちと一緒にいたんだもの。
それが彼女のいる人の行動パターンだとは思えない。
連れの女性の後ろ姿は美しかった。
どんな顔をしているのだろう、未だ見ぬ正面の容姿に想像力が掻き立てられる。
背の高い男性とスタイルの良いその女性は、とても絵になっていて、きっと前から見ても美しいに違いないと、根拠もないのにそう思った。
どこまで行っても向かう先が同じで、じわじわと動揺の波が押し寄せてくる。
こうやって真後ろから見ていると、しゃんと伸びた姿勢、踏み出した足を地面に引きずる癖、長い足を持て余している感じ、何もかもが彼と同じで、その人にしか見えなくなってくる。
それでも私は疑っていた。
信じたくなかったのかもしれない。
まさか、そんなことあるわけ……
私の予想――期待と言った方が正しいのだろうか――を裏切って、見事にそのカップルは私たちの目指していたマンションの入り口へと吸い込まれていった。
「遠すぎて顔なんて見えないよ」
「私、視力2.0あるからさ」
「すごいっ!」
私たちが背後から送る視線なんて気づかずに、そのカップルはのんびりと歩き続けている。
向かう先は、たまたま私たちの目指す方向と同じ。
しばらくして、彼らが道を曲がった。
同じ道を辿るべく、私たちは横断歩道の信号が変わるのを待つ。
「やっぱり似てると思うんだけどな」
「まさか。彼女がいるなんて聞いたことも無いし」
「いないって、聞いたの?」
「……そういうわけじゃないけど」
確かに、彼女がいないなんて聞いたわけでもないが、いる素振りが全くなかったのも事実だ。
だって、今まで、土日はずっと私たちと一緒にいたんだもの。
それが彼女のいる人の行動パターンだとは思えない。
連れの女性の後ろ姿は美しかった。
どんな顔をしているのだろう、未だ見ぬ正面の容姿に想像力が掻き立てられる。
背の高い男性とスタイルの良いその女性は、とても絵になっていて、きっと前から見ても美しいに違いないと、根拠もないのにそう思った。
どこまで行っても向かう先が同じで、じわじわと動揺の波が押し寄せてくる。
こうやって真後ろから見ていると、しゃんと伸びた姿勢、踏み出した足を地面に引きずる癖、長い足を持て余している感じ、何もかもが彼と同じで、その人にしか見えなくなってくる。
それでも私は疑っていた。
信じたくなかったのかもしれない。
まさか、そんなことあるわけ……
私の予想――期待と言った方が正しいのだろうか――を裏切って、見事にそのカップルは私たちの目指していたマンションの入り口へと吸い込まれていった。