恋は天使の寝息のあとに
それは間違いなく恭弥だった。

二人は玄関の前に立ち、慣れた仕草で鍵を開け、ドアを開く。

一瞬だけ、女性の横顔が見えた。
歳は私より恭弥に近いかもしれない。
大人びた顔立ちの、見たこともない綺麗な女性。
そもそも、私は男女関わらず恭弥の知り合いに会わせてもらったことがないのだから、彼女を見たことがなくても当たり前なのだが。

私が少し離れた影から二人の様子を観察していると。
部屋に入る直前、ふと、恭弥がこちらを振り向いた。


!!!


咄嗟に壁の影に身を引っ込ませて、息をひそめる。

目が合った気がした。
見つかってしまっただろうか。

そもそもどうして私が隠れなければならないのだろうかと考えながら、とりあえず、今この状況で顔を合わせるのはどうにも気まずい気がした。


やがて、ガチャンとドアの閉まる音が響いた。

恐る恐る影から顔を覗かせると、ふたりの姿はもうどこにもなく、どうやら部屋の中に入ったようだった。

見つからずに済んだようだ。思わず、ふーっと、大きなため息を漏らす。
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