正しい紳士の愛し方
二人が訪れたレストランは一流ホテルに相応しい佇(たたず)まい。
「いらっしゃいませ、高津様。お席へご案内させて頂きます」
ウェイターは二人を少しも待たせることなく案内に入る。
名前も予約時間もきっちりおさえて来店を待っていたんだ。
案内された席はレストランの最奥。
個室風の所謂VIP席と呼ばれるところ。
「なんか凄いね……」
樹は心境を思わず口にする。
視線を移した先に案内係のウェイターがいて少し恥ずかしくなった。
場慣れしていないのが丸分かりでシュンと肩を竦める。
「予約の料理を頼むよ」
ウェイターは「かしこまりました」と深くお辞儀して静かに個室を後にした。
「座ったら?」
彼は入室したまま突っ立った状態の樹に優しく声を掛ける。
その顔は可笑しそうに少し笑っていた。
「う、うん……座る」
樹は促されるまま席に着いた。