白鷺の剣~ハクロノツルギ~
なんというか、あか抜けているから。

でも……いない。

どこなんだろう。

本当は一緒にお店を見て歩きたかったから、私は白鷺を探すことにした。

……たしか白鷺はこっちの道へ入っていったよね。

狭い幅の道は人が溢れていたけれど、白鷺らしい人はいない。

この道を抜けて別のところへいっちゃったのかも。

私は踵を返すと元来た道へと帰った。

その時、目の前に白鷺が現れた。

見たところ一軒の民家のような戸口から、フラリと白鷺が出てきたのだ。

綺麗な女性と。

「世話になったな」

「白鷺のためなら……無理もするわよ?だから、また来て。私が出向いてもいいわ」

心臓が掴み上げられたような気がした。

それから全身に冷水をかけ流されたように、身体が冷えていく感覚。

この人……あの人だ。

白鷺に抱かれてた……あの女性だ。

すぐに背を向けて、見てない振りでもすればよかったのに、私にはそれが出来なかった。

白鷺も女性もはまだ私に気づかない。

鼓動が早くなって苦しくて、周りを確認する余裕もなくて、私は勢いよく後ろから身体を押された。

「おっとごめんよ、お姉さん!」

慌てて立ち上がる私に、二人が気付いた。

「柚菜」
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