魔女に恋した王獣



  そう言うジンの顔は、やはり何もうつしてはいないものの、後悔に溢れた瞳をしていた



「正直、もうだめだって思った。

  そんな俺にきた痛みは、車に跳ねられてきた痛みじゃなくて、誰かに突き飛ばされた痛みだった。

 
 兄貴だった。

跳ねられそうになった俺を、道路の外に押したのは兄貴だった。

 兄貴は…、俺のために…

 俺を庇って、車に跳ねられた。」




「その時、兄貴に押された時にできたのが、あの傷だ。」


  あの傷とは、ジンの体にあるあの傷



 それは、ジンのお兄さんがジンを守るためにできた傷



「そして、兄貴は…


  一度も目を覚ますことなく、二度とおきなくなった…」





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