チョコレートプリンス*きみだけをずっと*
それから諸注意を聞いて開会式が終わると、ホールのステージには学園長先生が再び現れた。
先生は一度フーっと息を吸ってから、マイクに電源を入れた。
「これから第1回戦目一組目のテーマを発表します。
テーマは『家族』。
ケーキはパウンドケーキ。試合は午後1時に第1、2調理室で開始します。
尚、2組目のテーマは一組目の試合開始と同時に発表予定です」
司会の先生が解散の指示をすると、みんなはそれぞればらけていく。
あたしたちはちなみに一組目だから今発表されたのがテーマになる。
そしてこのコンクールはトーナメント形式であたしたちが戦う相手は2年生も3年生もいる。
あたしたち1年生よりも経験を積んでるから不利にはなるけど、そんなこと言ってはいられない。
それにしても"家族"ってなんて抽象的なテーマなんだろう。
全然何にも浮かんでこないよ。
「1回部屋に戻るぞ。それからだ」
手を差し出してきた翔斗の手をもう今は当たり前のように掴んで、あたしたちは瞬間移動をした。