チョコレートプリンス*きみだけをずっと*



「……っ」



尚くんは腕を伸ばしたまま、目からは涙が溢れていた。



ポタッ、ポタッと床にはどんどん跡をつけていく。



「尚くん、思い出してくれた?」



「……なんで、俺……こんなに大事なこと……忘れてたんだろう。




パティシエになりたいって夢を追いかけ始めた時は



食べたみんなが喜んでくれて、また俺の作ったお菓子が食べたいって言ってくれるようなお菓子が作りたいって思ってたはずなのに……」



良かった、ちゃんと思い出してくれた。



尚くん、こんなに素敵なお菓子を作る理由を持ってたんだね。



「それを思い出せれば大丈夫だよ。きっと」



「うん。未桜ちゃん、ごめんなさい。本当に謝っても許してもらえないことしたと思う。



それでも俺、未桜ちゃんのおかげで夢を追いかけ始めた時のこと思い出せて良かった。



ありがとう」



ふわっと笑った尚くんにはもう翔斗や順位に気にしていた頃の尚くんはいなくなっていたように見えた―――。



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