パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを
ベール越しに仁と見つめ合う。
今日の仁がいつにも増して凛々しいから、胸が急加速で高鳴っていく。
神父様の方へ並んで向き、ありがたい言葉に耳を傾ける。
片言のたどたどしい日本語が、かえって胸に染みた。
「相原仁、あなたは稲森二葉を生涯愛することを誓いますか?」
仁が一瞬だけ私を見て微笑む。
「はい、誓います」
力強い宣誓だった。
「稲森二葉、あなたは相原仁を生涯愛することを誓いますか?」
「はい……誓います」
何があっても、この愛だけはもう二度と離したりはしない。
「それでは、指輪の交換を」
神父様の手から、指輪の入ったボックスを差し出された。
そこからお互いにひとつずつ取り、順番にはめていく。
一緒に買いに行ったわけでもないのに、サイズがピッタリなことに驚いてしまった。
思わず「あ、ピッタリだ」と呟いた私に、仁は満足気に笑った。
「それでは誓いの口づけを」
仁が私のベールを上げる。
クリアになった視界の中が、仁でいっぱいになる。
もう何も恐れることはない。
これからは三人一緒に……。
込み上げる想いを堪えきれなくて、潤んだ瞳で仁を見つめた。
優しく返される眼差し。
ゆっくり近づく仁の顔。
瞼を閉じて、その唇を感じた。
-fin-
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
最大限の感謝を込めて。
紅カオル


