社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
こんなところ見られたら、困ると思い急いで彼のシャツに袖を通す。しかし身に着けると余計に彼の香りがして激しく胸が音を立てた。
何とか胸の鼓動と赤い顔を落ち着けた頃、寝室の扉が開き、コーヒーのいい匂いが漂ってきた。
下だけメイビーのスウェットを身に着けた要さんが目に入る。
「お待たせ……」
水色と桃色のマグカップを持ったままの、彼が入口で立ち尽くしている。
「ありがとうございます……って、どうかしましたか?」
彼の様子がおかしいことに気がついて、首を傾げる。
「どうかって……どうにかなりそうだ……」
小さく呟いた彼が、すたすたと歩いて来てマグカップをふたつベッドサイドのテーブルの上に置いた。
「え、あの。飲まないんですか?」
「あぁ、それどころじゃないだろう? 朔乃が俺のシャツなんか着て煽るのが悪い」
「な、なに言って……これは要さんが」
慌てる私など気にしない様子で、彼が私の手を取った。
「悪い。コーヒーは後だ」
手を絡め取られたあと、首筋にキスが落ちてきた。
そして、私はクールで不器用な上司に、熱く愛される。
翻弄される私の最後の記憶に残っていたのは、仲良くふたつならんだマグカップ。
まるで、私たちふたりを呆れたようで眺めている様に感じたのは……きっと気のせいだ。
END


