鬼常務の獲物は私!?



「福原さんのそういう所が、私は好きですよ」

「え……好き⁉︎」

「ああ、そう意味ではありません。神永常務の恋敵にはなりたくありませんので。
言い換えれば、可愛らしく思えて、人間的に好ましいということです」

「あ……ありがとうございます……」


驚いた後に胸を撫で下ろして、それから少し頬を赤らめた。

高山さんがそんな風に思ってくれていたとは知らなかった。すごく嬉しいけれど、面と向かって褒められると照れ臭い気もする。

あれ、でも……そういう所って、どんな所だろう?

やっぱり分からなくなるマヌケな私に、高山さんは言葉を続けた。


「福原さんには人を癒す才能があります。神永常務もそういう所に強く惹かれたのではないでしょうか。

最近の常務は角が取れて丸くなったように思いますし、それは仕事面にプラスに作用しています」


「ええと……」


「つまり、福原さんは常務を癒し仕事への活力を与えてくれる存在なので、なにを気にする必要もなく、呼ばれたらすぐに常務室に行って下さいということです。

さあ、早く。常務がお待ちですよ」


「は、はい!」


高山さんに言われて、急いだ方がいいことを思い出す。

残り7段のステップを駆け上がり、5階のフロアに足を着けた。

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