鬼常務の獲物は私!?



その後も、おもちゃの量は増えていく。

中に鈴の入ったカラフルなボールや、電動で動くアヒルの親子、猫トンネルに、なぜか太郎くんが気に入って捨てさせてくれないお菓子の空き箱。

もちろん枕もとにせっせと運んでくるのは太郎くんで、次は何を持って来るのかと少しワクワクして待っていたら、床の隅に落ちていたのかキャットフードひと粒をくわえてベッドに飛び乗ってきた。

それを私の顔の上にポトリ。
まるで「これを食べて元気出して」と言っているかのようだった。


「ありがとう。でも、太郎くんが食べていいんだよ」

そう言いながら白黒の体を捕まえてひっくり返し、お腹の柔らかな毛に顔を埋め、モフモフ感を楽しむ。

私を元気づけようとして、おもちゃやキャットフードを持ってきてくれた太郎くんが愛しくてたまらない。

そうだよ……私には太郎くんがいるじゃない。

相思相愛の関係の、こんなに可愛い彼氏がいるんだから、落ち込む必要なんかないんだ。


太郎くんのお陰で気持ちを上向きに修正した途端に、ベッドの枕もとに置いていたスマホがメールの着信を告げた。

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