鬼常務の獲物は私!?
星乃ちゃんか、それとも実家の母か妹だろうと予想して、ネズミのぬいぐるみの下になっていたスマホを手に取る。
太郎くんは私のモフモフ攻撃がお気に召さなかったみたいで、すぐに逃げ出し、今は猫タワーの上にいた。
それを寂しく思いながらスマホ画面に目を遣り、ベッドの上に飛び起きた。
メールは神永常務からのもので、ドキドキしながら急いで開く。
【自宅にいる時に俺からメールが来るのは迷惑かもしれないが……】
そんな書き出しの文面にまずは首を傾げた。
仕事中に申し訳ないというなら分かるが、自宅でメールを受け取ることがどうして迷惑だと思うのか、常務の考え方が分からない。
でもそんなことより、その後に続く、熱はないか、病院に行ったか、夕食を食べたかなど、私を心配する言葉の数々に、心の中がまた忙しくなってしまった。
気に掛けてくれるのはかなり嬉しいけれど、そこに愛情があるのではないかとまた期待してしまいそうになるので、その気持ちを抑えるのに苦労する。
深呼吸をして、これは上司が部下に送るごく普通のメールだと自分に言い聞かせてからメールを返した。