鬼常務の獲物は私!?

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一週間後、今日は神永常務が帰国する日。

昨夜、昼過ぎに帰社するという内容のメールをもらってから、ソワソワして落ち着かない。

ダメだと幾度となく自分に言い聞かせても、心が勝手に喜んでしまい、早く会いたくてたまらなくなるのだ。

買ったばかりの春物コートを着て、大きな紙袋を下げて出社する。

紙袋の中には、大量の手作りチョコチップクッキーが入っている。

今日はバレンタインデーなので、日頃お世話になっている営業部の皆さんに配ろうと思って。

神永常務の分だけはこの紙袋の中ではなく、ショルダーバッグの中。

好きですと告白する気はないけれど、常務にもお世話になっているし、上司だし、出張の疲れには甘い物がいいかと思うし、前に猫型クッキーをあげたらすごく喜んでくれたし……。

そんな風に自分に色々と言い訳しながら、ハート型のクッキーを箱に入れ、可愛くラッピングして持ってきた。


嬉しさ半分、止まらない恋心に困った気持ち半分で３階の廊下を歩いていると、前方の給湯室の中からワッと盛り上がる声が聞こえてきた。