鬼常務の獲物は私!?
そんな私に神永常務は、不機嫌さをあらわにして問いただす。
「だったら、なぜそんなことを言い出すんだ。
太郎が俺に会うなと、余計な口出しをしてくるのか?」
「太郎くん……?太郎くんがそんなこと言うはずないじゃないですか。ふざけないで下さい。
私は真面目にこれで最後にしたいと……」
「ふざけたことを言ってるのは、お前だろ!」
怒鳴られて感じるのは、恐怖ではなく、こうやって叱られるのも最後かもしれないという淋しさと切なさ。
もうダメ……辛くて限界。
私のシナリオでは、笑顔でさよならして、後腐れなくここを出るはずだったのに、今にも涙が溢れてしまいそう……。
泣いて別れることだけは嫌なので、つい声を大きくして言ってしまった。
「とにかく、私は二度とここに来ないと決めたんです! もう、私に構わないで下さい!」
言い終えて逃げ出そうと一歩踏み出した時、背後に物が壊れるような大きな音がした。
驚いて肩をビクつかせ、足を止めてしまう。