鬼常務の獲物は私!?
思わず後ろを振り返ってしまったら、そこには目を見開くような光景が……。
大きな机の上にあった物が払い落とされ、山積みの書類もペン立てもノートパソコンも、全てが床に散乱しているのだ。
「キャア!」と悲鳴を上げてしまったのは、常務に体を捕らえられてしまったから。
肩に担がれるように持ち上げられ、机の上に落とすように手荒に座らされる。
お尻に衝撃を感じて顔をしかめたら、今度は仰向けに押し倒され、背中と後頭部を打ち付けた。
痛い……でも、それを口にできなかったのは、私以上に常務が痛そうな顔をしていたから。
両足の間に常務の右足が差し込まれ、顔の横には二本の逞しい腕が突き立てられている。
綺麗な顔は苦しそうに歪められ、私を見下ろす鋭い瞳には、怒りだけではなく、悲しみの色も感じられた。
常務の喉仏がコクリと上下に一度動き、それから形の良い唇が、低く静かな声で話し始めた。
「俺をこれ程までに夢中にさせておいて……今さら逃げたいと言うのか?
許さない……。どうしても逃げるというなら……責任を取ってからにしろ」