鬼常務の獲物は私!?



一件落着となったとき、時計の針は17時45分を指していた。

終業時刻は過ぎたので帰ろうと思うけれど……その前に、これを片付けてからじゃないと。

机の周囲には、さっき常務が薙ぎ払った物が散乱している。

私はしゃがみ込んで散らばった書類に手を伸ばし、神永常務はノートパソコンを机に置いて動作確認をしてた。

「まずい、壊れたか……」

そんな呟きが聞こえた後に、高山さんが近づいてきた。


「ここの片付けは我々に任せて、常務と福原さんはお帰りになって下さい」


「え? でも、私たちがやったことですし……」


悪いのは神永常務で、そんなことをさせてしまった私も、もちろん悪い。

秘書のふたりには全く非がないので、こっちの方こそ、帰っていいですからと言いたい気持ちだ。

書類を拾い集める手を止めずにいたら、今度は高山さんにこう言われてしまう。


「私も男ですから、福原さんの豊かな胸もとが気になってしまいます。早くコートを着て、どうかもう、お帰りになって下さい」


指摘された通りブラウスのボタンは弾け飛んでしまったので、さっきからずっと左手で押さえている。

でも、右手ひとつで書類を拾い集めるのは不便で、思わず左手を出してしまい、ハッとしてブラウスを押さえることを繰り返していた。

それが気になると言われてしまったら、私も気になって、片付けどころじゃなくなってしまう。


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