鬼常務の獲物は私!?
書類を拾う手を止めて顔を赤らめると、高山さんは今度はノートパソコンを触っている神永常務に言った。
「壊れた物をどんなに弄っても意味はないので、福原さんと一緒にお帰り下さい」
常務はフゥと息を吐き出し、ノートパソコンをパタンと閉じた。
それからバツの悪そうな顔をして「任せた」とひとこと言うと、しゃがみ込んでいる私の腕を取り、立ち上がらせた。
「日菜子、帰るぞ」
「いいのでしょうか……」
「ああ。俺たちがいない方が、早く終わりそうな気がする。なにより、お前のそんな格好を高山に見せ続ける訳に行かないからな」
そんな格好って……。
常務がやったことなのにと思いつつも、恥ずかしいのは確かなので、大人しく薄手のコートを着てショルダーバックを肩にかけた。
神永常務は上になにも羽織らず、鞄だけを持ちドアへと歩いて行く。
出て行こうとしている私たちを引き止めたのは比嘉さんで、「お待ち下さい」と常務に歩み寄り、ピンクの紙箱を手渡した。
「お忘れ物です。残らず集めましたが、落ちて割れてしまい残念です。福原さんに謝った方がいいのではないでしょうか」