鬼常務の獲物は私!?
常務の今夜のプランを知った私は、慌ててしまう。
「うるさい」「黙れ」と言われながらも、「行けません」「できません」「帰ります」と繰り返していたら、常務は深い溜息をついた。
車を走らせたまま不機嫌そうな顔をして、私に苦情を言う。
「なんでだよ……。お前、さっき俺のことを好きだと言ったじゃないか」
「え……?
好きって……言ってないような……」
慌てながらも常務室で交わした会話をひとつひとつ思い出してみた。
たくさん話した中に、好きだという言葉はなかった気がする。
心の中には愛しさが込み上げて溢れそうなほどだったけれど、口に出すのは我慢した。
勘違いの末に、常務から離れようと決意していたし。
思い返してそれを確かめてから、「やっぱり言ってないです」とキッパリ伝えると、舌打ちされてしまった。
「言葉にしていなくとも、そういうことだろ?
俺と小百合が婚約していると勘違いして、泣いていたじゃないか」
「それは……そうなんですけど、でも……」
「でもはいらない。俺はお前が好きだ。お前も俺を好きだと言え。早く俺の女になってくれ」