鬼常務の獲物は私!?
「私はおふたりの交際が上手くいくことを望んでおりましたので、同棲していることも含めて嬉しく思っております」
「は、はい……ありがとうございます……」
一応お礼の言葉を述べてみたが、次に逆接の接続詞が来そうな気がして、気を緩めることはできなかった。
そしてやっぱり「ですが」と言われてしまい、怒られる覚悟をする。
「社内では適切な距離を保っていただきたい。どうもあなたは流されやすいようですね。
ご自宅で絡み合う分には一向に構いませんが、社内では困ります。一大事にならぬよう、お願いいたします」
高山さんの注意はごもっとも。
私が常務室に呼ばれる目的は、彰さんの癒しになるためだが、お茶を共にするだけでいいのに、膝に乗るのはやり過ぎだと自分でも思う。
お叱りの言葉を頷いて聞き入れ、「すみませんでした」と謝るしかできなかった。
しょんぼりと肩を落として反省していると、彰さんが隣で口を開く。
「高山、日菜子に言わないでくれ。
すべて俺がやらせたことで、悪いのは俺だ」
私をフォローしようとしてくれた彰さんだが、高山さんは表情の厳しさを解くことはなく、矛先をもとに戻しただけ。
キッと彰さんを睨みつけ、厳しい口調で問いただした。