鬼常務の獲物は私!?



急に降って湧いたようなその言葉に、目を丸くする。

思わず立ち上がってしまうほどに驚いたのだが、理解はしていない。

お見合いって、私と誰のお見合いなのか……。
景仁会病院との商談に、私が同席しなくてはならない意味も分からない。

「どういうことですか?」と彰さんに尋ねると、彼はジロリと比嘉さんを睨みつけ、「なぜ日菜子のいる場で言うんだ」と彼女を責めていた。

私なら「ごめんなさい!」と謝り逃げ出すところだが、さすが比嘉さんというべきか、睨む視線を受け流し「必要だと思いましたので口にしました」と、クールに答えるだけだった。

高山さんは……。比嘉さんの発言に最初は「しまった」と言いたげな顔をしていたが、今は比嘉さんを擁護するかのように頷いている。

どうやら高山さんも、比嘉さんと同じことを言いたかったみたいだ。


3人はそれぞれの想いの中で視線をぶつけ合っているだけで、それ以上のことは誰も説明してくれなかった。

ひとりだけ訳が分からない私が「彰さん!」と、ついふたりきりの時の呼び名で呼んでしまうと、「日菜子、来い」と命令された。

私にも分かるように説明してくれるのかと思って近付いたのに、なぜか大きな両手でほおを挟まれ上を向かされる。

そして……綺麗な顔が近づいてきて、唇が重なった。

見られているのに、どうして……。


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