鬼常務の獲物は私!?



パソコン画面に視線を止めて考え込んでいたら、耳もとで「なるほど」と声がした。

ビクッと肩を揺らして横を見ると、星乃ちゃんが中腰で立っていて、メールを読まれてしまったみたい。


「日菜に言い寄る、新たな男の出現か。
景仁会病院って、2年後に新病院を建てる予定のところだよね。これは厄介」

「う、うん……」


星乃ちゃんの言う通り。相手は神永常務が欲しがっていた、ビックビジネスチャンスを握った大手取引先。

無下に断るわけには……いかないだろう。


「景仁会病院については、まだ営業部に下りてきていない案件。神永常務が一手に引き受けて進めているようだが、うちの部署に下ろせるほどには、話が進んでいないということかな」

「たぶん……」

「へぇ。それなのに、日菜を守って断り続けるとは、神永常務は男だね」

「え? 断り続ける……?」


星乃ちゃんに言われて、もう一度メールの文面を読み返してみる。

【あなたの耳には直接届いていないのだろうと推測し……】とは、何度か打診したのに聞き入れてくれなかったから、私に直接連絡してみたと解釈できる。

加えて、さっきの常務室でのやり取り。
比嘉さんは『今回はお見合いを受けろと言われていないから……』と言っていた。

もしかして、初めは私のお見合い話が彰さんのもとに来て、それを断ったから、商談に同席という形でもいいからと、理事長先生に頼まれたということなのか。

私に直接メールが来たということは、それさえも、彰さんは断ってくれたということで……。


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