鬼常務の獲物は私!?



心に喜びが広がりそうになったが、深刻そうな高山さんの顔がふと浮かんで、喜びはたちまち消されてしまった。

高山さんは前に、神永常務を社長にすることが自分の仕事だと言っていた。

それが今、危うくなっている……。

彰さんと沼田専務との後継争いは静かに始まっていて、景仁会病院の仕事を彰さんが取ってこれるかどうかで、勝敗が決まる。

もしかして私は、後継問題と莫大なお金の動くビジネスチャンスのど真ん中に立たされているのだろうか……。

こんな私が……。


サアッと青ざめて「どうしよう」と星乃ちゃんに救いの目を向けてしまった。

すると星乃ちゃんは「任せて」と頼もしく、ポケットから水晶玉を取り出した。

水晶玉に手をかざし、私の選ぶべき道を真剣に探してくれる彼女を、指を組み合わせてジッと見守る。

すると、ピシッと音がして、私の目の前で水晶玉に大きな亀裂が入った。

目を見開いた星乃ちゃんが「不吉な……」と呟いて、私の心はますます不安の中に落とされてしまった。

彰さんはきっと、これからも私を商談の場に連れて行くことを拒むだろう。

でもそんなことをしていたら、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまう予感がする。

そして、次期社長の座は義理の兄である、田沼専務に決まってしまい……。

心が苦しくて、制服のベストの胸もとをぎゅっと握りしめた。

私……景仁会病院の事務長さんに会った方がいいんじゃないかな……そう思っていた。


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