鬼常務の獲物は私!?
洗い物を終えてから、スマホを手に取った。
時刻は22時10分。夜中に失礼だとは思うけれど、決意が固いうちに話したいと考え、思い切って高山さんに電話した。
なにかあった時のためにと携帯番号を教えてもらっていたが、今まで一度もかけたことがないので緊張する。
3回コールで電話に出てくれた高山さんも、まさかこんな時間に私から電話が来ると思わなかったようで、開口一番に「なにかあったんですか⁉︎」と、緊張を孕んだ声で聞かれてしまった。
「驚かせてすみません。あの、ご相談が……」
「神永常務は今どちらに?」
「お風呂に入っています」
彰さんに内緒で電話しているのだと、説明せずとも高山さんは理解してくれたみたい。
そして、私が言おうとしていることも察知したようで、先に聞かれてしまった。
「商談に同席して下さるという相談ですか?」
「はい」
「相手は景仁会病院で、そこの事務長があなたに好意を寄せているからだということも、もしやご存知ですか?」
「はい……理事長先生から、直接私宛にメールをいただきましたので……」
「なるほど」と短いやり取りで私の悩みの全てを理解してくれた高山さんは、電話の向こうで黙り込んだ。
私はリビングのドアの向こうを気にしながら通話している。