鬼常務の獲物は私!?



それから5日後の土曜日。

彰さんは仕事が入っていると言い、迎えに来た高山さんと一緒に昼前に家を出て行った。

なんの仕事なのか教えてもらっていないが、景仁会病院関係者との商談であることは知っている。

今回は接待を兼ねて、老舗高級料亭のお座敷で懐石料理を食べ、お酒を飲み、ビジネスの話をするのだということも知っている。

そして、その席に、彰さんに内緒で後から私が合流するということも……。


彼を見送ってから、大急ぎで支度を始めた。

以前、彰さんに買ってもらった膝丈タイトスカートの高級ビジネススーツに着替え、メイクをして髪を結う。

全ての支度を20分で整え終えた時、ちょうどスマホが鳴った。

急いで通話に出るとそれは比嘉さんからで、「着きました。下まで降りてきて下さい」と言われる。

太郎くんと小雪ちゃんに「いい子にしていてね」と言い置いて家を出て、マンションのエントランスから外に出たら、タクシーが一台、路肩に停車しているのに気付いた。

それに違いないと思い近づくと、後部席のドアが自動で開いて、中には比嘉さんの姿が。

私が隣に乗り込むと、タクシーはウィンカーを上げてすぐに走行車線に走り出た。


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