鬼常務の獲物は私!?
比嘉さんは私の格好を見て、「ちゃんとスーツを着てきてくれましたね」と頷いていた。
そう言われた理由は、私の服装に関して景仁会病院側から高山さんに連絡が入ったからだ。
先方との連絡は、高山さんが全てやってくれている。
私の同席について連絡したら、あちら側の担当者が、突然場所の変更をお願いしてきたそうだ。
その変更場所が今向かっている老舗高級料亭で、私の服装についてもビジネススーツではなく、着物やワンピースなどの仕事を感じさせないものにして欲しいと言われたらしい。
それって、もしや……。
無理やりお見合い的な流れに持ち込むつもりなのだろうと、高山さんは危険を察知した。
それで、指示された服装ではなく、あえてビジネススーツで来るようにと私に言ってくれたのだ。
どうしても私を連れて来いというあちらの要望は飲むけれど、こちらとしてはあくまでも仕事上のことというスタンスを取り続けるつもり。
私も一応営業部の人間だから、商談の場に同席する理由にはなる。
営業マンとして今日だけ同席する。
そう、一度だけ……。
それで、あちらの気を損ねることもなく、契約へと無事に話が進めばいいのだが……。