鬼常務の獲物は私!?
上座には理事長先生を中心に、左隣に息子の事務長さんと、他に3人の見知らぬ景仁会病院関係者がいた。
座卓を挟んで向かい側の下座には、接待する側の私たち、神永メディカルの人間が。
理事長先生の真向かいに、彰さん。その左右を高山さんと営業部の菅野部長が挟んで座っている。
私は部長が来ることを聞かされていたが、知らなかった様子の菅野部長は「福原⁉︎」と驚いて私を見ていた。
同じくなにも知らずに不意打ちを食らった彰さんは……目を見開いてこっちを見た後に、私の斜め後ろに立つ比嘉さんに鋭い視線を向け、隣の席の高山さんのことも一睨みしてから、音に出さない小さな溜息を吐いていた。
「では、私はロビーに待機していますので、お手洗いの際は声をかけて下さい」
比嘉さんが早口で囁いて去って行く。
私は畳の上に一歩踏み出してから正座をして、「遅くなりまして申し訳ありません」と深々と頭を下げた。
「いやいや、無理を言って来ていただいたんだ、謝らないで下さい。さぁお嬢さん、そこの席に座って。楽しみましょう」
理事長先生がそういって指し示した場所は事務長さんの真向かいで、彰さんの右隣。今、菅野部長が座っている席だった。
「え?」と驚いた顔をした菅野部長だが、理事長先生に無言で笑顔を向けられて、慌てて立ち上がり、襖に近い一番末席へと移動している。