鬼常務の獲物は私!?
そうか、あの店長さんと事務長さんは、友達なのか……。
お座敷では事務長さんの攻撃に困り果て、気持ち悪いとも感じてしまったが、その気持ちに変化が生じていた。
私が今までに出会った猫好きの人に悪い人はいなかったし、子猫日和の優しい店長さんの友達なら、いい人なのかもしれない。
さっきはただ、女性慣れしていないから、おかしな方向に突っ走ってしまっただけかも。
警戒心がすっかり解けて、彼の手の中にある私のスマホを操作し「太郎くんの他の写真も見ますか?」と笑顔を向ける。
その時、細い通路を塞ぐ大柄な事務長の背後に、殺気を感じた。
怒りを押し殺したような「失礼」という低い声がして、事務長の後ろから伸びてきた手が、私のスマホを抜き取る。
そして事務長と壁の隙間を無理やり通り抜けてきた男性は、間に割って入り、私を背中に隠すようにして彼の前に立ちはだかった。
あ、彰さん……とは呼べないので「神永常務」と呼びかけると、「福原、それを生田目事務長にお返しして」と言われ、今度は私の手の中のスマホを抜き取られた。
それぞれのスマホが無事に持ち主の手に戻ると、彰さんは事務長に向けてキッパリと忠告をした。
「大変申し訳ありませんが、我が社は取引先と個人的に関係を築くことを禁じております。
それはトラブル防止のためであり、景仁会病院さんとはビジネス上において、よきパートナーでありたいと願っておりますので、どうかご理解下さい」