鬼常務の獲物は私!?



それはフェルトで手作りした、猫のマスコットみたいな物。

大きさは縦に10センチ、横に4センチくらい。
中には綿以外になにか硬い物が入っているようだった。

白と黒の2色の配色は太郎くんの毛色と同じ。
てっきり星乃ちゃんが作ってプレゼントしてくれたのだと思い、私は喜んだ。


「ありがとう! これって太郎くんだよね?
わー、縫い目が細かくて上手だね。星乃ちゃんにこんな趣味があるなんて知らなかったよ」


美人でミステリアスな雰囲気のある星乃ちゃんは、動物マスコットを作るというよりは、髪の伸びる日本人形や、目から血を流す天使の彫像を手作りしていそうな気がしてしまう。

よく知っているつもりだった親友の意外な一面に驚き、今度一緒に編み物やパッチワークをやってみたいと思っていたら、星乃ちゃんが静かに首を横に振った。


「製作者は私ではない」

「え……じゃあ、誰が?」


なぜか質問は無視されて、星乃ちゃんが急に怪しげな雰囲気を醸し出す。

そして水晶玉のお告げを与えるときと同じ重みのある声色で、太郎くんマスコットについて私に説明した。


「それはただの猫人形にあらず。中には御神体が入っておるのじゃ。ありがたく受け取るがよい」

「ご、御神体……それって、なに教……?」

「星乃教じゃ。災いから日菜を守ってくれるありがたい神様であられる。決して粗末にするでないぞ」


< 325 / 372 >

この作品をシェア

pagetop