鬼常務の獲物は私!?



「ねぇ星乃ちゃん、これ本当に御神体なの?
中身は木のお札とかじゃなくて、金属製の近代的な物みたいな気がするけど」

「御神体じゃ。信じる者は救われる。通勤以外にも買い物やレジャーに出かける時は必ずボタンを押すこと。それから第3の注意は……」


まだあるのか……覚えきれるだろうかと不安に思いつつ、話を聞いた。

3つ目は、時々星乃ちゃんに御神体を預けるということ。

どうしてなのか尋ねると、「定期的にパワーを入れる必要がある。注入後に返すから」と説明された。

頭に浮かぶのは太郎くんマスコットを怪しい液体に浸してぐつぐつ煮込み、魔法陣の中で一心不乱に呪文を唱える星乃ちゃんの姿。

大丈夫かな……精神的に疲れているなら、心のお医者さんのところに、私が付き添うけれど……。

心配をする私に星乃ちゃんは「とにかく外をひとりで歩く時にはボタンを押した御神体を肌身離さず持ち歩くこと。以上」と話を締めくくり、「さて、仕事に戻るか」と私を置いて、先に出て行ってしまった。

静かになったひとりきりの会議室で、手の中の太郎くんと見つめ合う。

星乃ちゃんのことは心配だし、これも怪しい気がするけれど……マスコットの太郎くんも結構可愛いから、まぁいっか。

取り敢えず言われた通りにしてみようと思い、ポケットに入れて、私も会議室から出て行った。



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