Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
ツーンと顔を背けてやると、男は何故か小さく笑い出した。
「何なら身体に聞いてやってもいいけど?」
「はっ!?」
男の爆弾発言に素で驚いてしまった俺。
っていうか今コイツ何て言った?
身体!?身体って言ったよな!?
……有り得ねぇ。
俺は男だっつーの!
何で男に襲われなきゃなんねぇんだよ!
マジ勘弁。今すぐ逃げてぇんだけど!
迫り来る危機にダラダラと嫌な汗が吹き出してくる。
「さぁ、どうする?」
「……っ」
究極の選択を迫られた俺は何も発する事が出来ず、ただ下唇を噛んで睨み付けるだけ。
そんな時、俺の耳にガチャと扉の開く音が聞こえた。
「……ククッ。命拾いしたな。聞くのはお前じゃなくそっちの相方にしようか」
背後から聞こえた音の後、愉快そうに声を弾ませた男。
直後。
「いっ…た……!」
耳に入ってきたのは幾つかの足音と良く知る声。
なっ!?
その声に直ぐ様振り返れば、真後ろにはさっき店の外ですれ違った茶髪男と逃げた筈の凛音が立っていた。
「なんで……」
驚きの余り目を見開く。
……なんで、なんで此処に凛音がいるんだよ!!
逃げた筈なのになんで……!!
「シン、まさかホントに居るとは思わなかったんだけど」
「ククッ。だから言っただろうが。東條 凛音が一人で出歩く訳がないって。……けど、まさかその連れが女だったとはな」
「……っ、」
さっきの嫌な予感は“コレ”の事だったのか。
まさかあの茶髪野郎に“凛音”の連れを探しに行かせてたなんて思いもしなかった。
……チッ。コイツ侮れねぇ。