Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
小さな笑みを一つ零し、凛音を脅す男。
けれど、そんな脅し凛音に通じる訳がない。
「……コワイ目ってどんな事すんの?」
怖がるどころか逆に愉しげに笑う凛音。
……お前、どれだけ胆据わってんだよ。ここは怖がる所だろうが。
女のモノとは思えない強気発言に、俺はこんな状況にも関わらず心中で突っ込んでしまった。
ホント、産まれてくる性別間違えたんじゃねぇの?
「──ハッ。まさしく“類は友を呼ぶ”、だな。東條 凛音と似て気が強ぇ」
いや、友じゃなくて姉弟だよ。
肩を揺らしながら笑う男にまたしても突っ込んでしまった俺。
っていうか、凛音と似てるのは顔だけで良いんだけど。
「──早く答えろよ。答えねぇとその身体に聞くけど?」
「身体に?」
「まぁそんなに心配しなくても痛い事はしねぇからさ。どうせならキモチイイ方が良いだろ?」
クツクツと笑いながら首を傾げる男は今の状況を心の底から愉しんでいる様に見える。
流石の凛音もこの発言にはダメージを受けているのか顔を伏せ、何も発しようとはしない。
……チッ。
どうにかして凛音だけでも逃がさねぇと。
そう思った時だった。
「……ふふっ」
聞こえて来たのは小さな笑い声。