Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
凛音?
再度凛音へ視線を走らせると凛音は俯いたまま肩を揺らし、クスクスと笑っていた。
「ふふふ………」
まるで壊れた人形の様にただ笑うだけの凛音。
そんな凛音をDのメンバーは不思議なモノでも見るかの様に怪訝な表情で見つめていた。
「お前──」
智広がポツリとそう零した時。
「……プッ、もう駄目。堪えきれない!」
「は?」
「あははははははは!!!身体!身体って!“あの”東條 凛音の身体!?あははははは!面白すぎる!!」
勢いよく顔を上げた凛音が俺を指差し、お腹を抱えて大爆笑し始めた。
あ、アイツ──!!
今までの緊張感なんて凛音の笑い声で見事に木っ端微塵。
薄暗い室内に響くのは凛音の下品とも言える笑い声だけで。
Dのメンバーはさっきと違う意味で顔を歪め、呆然とした表情で凛音を見ていた。
そんなDに構う事なく笑い続ける凛音。
俺には分かる。
アイツの考えている事が。
きっとアイツは“俺”が男に襲われる所でも想像してるのだろう。
……ムカツク。
俺だって男になんか襲われたくねぇよっ!!
「あーもうお腹痛いー。笑いすぎたし」
思う存分笑って満足したのか、満面の笑みでDに笑い掛ける凛音。
「あのさー、ぶっちゃけあたし、優の襲われてるとこなんて見たくないんだよねー」
「は?」
「それに、襲われるのも嫌なのよ」
次第に細められていく双眸。
そして、同時に引き上げられる口端。
にこやかな笑顔から一変し、突如無表情になった凛音の顔は先程の面影などもう何処にもない。