Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
……っ、マジかよ!
その表情を見た瞬間、俺は凛音の考えている事が解ってしまった。
凛音の双眸に鋭い光が一筋走り抜け、身体がユラリと揺れる。
俺は反射的に身を固くし、体勢を整えた。
──が、間に合わない。
「……っ、」
アイツ、突っ込むつもりか……!!
『──だからさ、逃げさせて貰うわ』
室内全体に木霊したのは凛音の声ではなく、殺気を含んだ“リン”の声。
その声が放たれた瞬間にはもう凛音の左肘は茶髪男の手を払い退けていた。
「な……っ!?」
目にも止まらぬ速さで身体を回転させた凛音。
後ろにヨロけた茶髪男の鳩尾に強烈な回し蹴りを食らわし、直ぐ様地を蹴る。
鋭さを増した双眸。
その目にはもう俺しか映っていない。
「優!!」
チッ。
凛音の叫声が室内に響き渡った瞬間、驚愕していたD達がハッと我に返ったのが分かった。
奴等が一斉に動き出すのを視界で捉えながら、俺は両サイドにいる男達を両肘で突き飛ばし、拘束を解く。
受け身が取れなかった男達が後方へと倒れていく中、俺は右側にいた男の腕に再び手を伸ばした。
左腕を掴んだと同時に思いきり引き寄せ、その流れのまま凛音の方へと突き飛ばす。
すると、凛音は素早く身体を傾け、目前に迫った男の鳩尾に右足を繰り出した。
ここまで来たらもう心配はない。
俺は身体を左に回転させると、体勢を整えようとしている男の脇腹に一発蹴りを捩じ込む。