Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
階段につき、二階まで上がる余裕がなかったあたしは二段程上がった所で蹲り、深呼吸。
震える指でボタンを押そうとした、その時。
『そのボタン、押されちゃ困るんだよな』
突然背後から伸びてきた手。
その手に電源ボタンを押された。
それは本当に一瞬の出来事で。
息を呑む暇もなく後ろを振り返ったあたしは、真後ろにいた男を見て直ぐ様後退した。
『なんで……!』
眼前にいたのは茶髪の男。
『こんにちはー』
セットされた茶色の毛がふわりと舞い、ゆるりと口角が弧を描く。
『……っ』
気配無く現れたのは、あたし達の敵である“D”のメンバー、キョウだった。
信じられない、と目を見開くあたしに対して、キョウはこれ以上ない程嬉しそうに笑っている。
『ねぇ、君、東條 凛音の知り合い?』
『……っ』
いきなり核心を突かれ、ビクリと揺れた身体。
『……驚いた。ホントにいたとはね』
動揺したあたしを見て確信したのか、キョウは何度か瞬きを繰り返してにっこりと微笑んだ。
『ねぇ、一緒に来て欲しいんだけどいいかな?』
優しい口調とは裏腹に、有無を言わさないとでも言いたげに向けられた鋭い視線。
『諦めた方が身の為だと思うよ?』
拒否する前に先手を打ったキョウはあたしの腕を荒々しく引っ張り上げた。
その後、観念したあたしは大人しくキョウに連れて行かれ、そして、今に至る。