Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「充くん、十夜はなんて……?」
難しい表情のまま電話を切った充くんにそっと近付き、チヒロに聞こえない様小声でそう問い掛けた。
すると充くんは考え事をしているのか、視線を落としたまま口を開いた。
「“隙を見て逃げろ。俺達もすぐにそっちへ向かう”。そう言われました」
まるで確認するかの様に紡がれた言葉。
それを聞いて納得した。
だから充くんがこんなにも難しい表情をしているのか。
馬鹿でない限りこの状況がどういう状況なのか解る筈。
敵は幹部を入れて数十人。
それに加え人質まで居る。
どこからどう見ても絶体絶命の大ピンチだ。
逃げ出せる可能性は無いに等しい。
けれど。それでも。
あたしは諦めようとは思わなかった。
“俺達もすぐにそっちへ向かう”
その言葉が確かに胸の中にあったから。
十夜が来てくれる。
もうすぐ皆が此処に来てくれる。
それだけでさっきまでの不安や焦り、皆への心配が嘘の様に消えていった。
心配していないと言ったら嘘になる。
けど、十夜達ならきっと大丈夫。
強いから。
皆、強いから。
シンを倒してあたしの元へ来てくれる。
そう信じて待ってる。
だから、あたしはチヒロに捕まる訳にはいかない。
本当は逃げたくないけど、十夜が逃げろと言うのなら何処へだって逃げてやる。
あたしは皆のお荷物になんてなる気はない。
「絶対に捕まらないから!」
何が何でも逃げてやる。