Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「…………え?」
その言葉を聞いた瞬間、踏み出したばかりの足が縫い付けられた様にその場に止まった。
……今、なんて言った?
逃げる事も忘れ、一時停止した思考へそう問い掛ける。
答えが出ないままゆっくりと声がした方へ振り向けば、言葉を発した張本人──チヒロと目が合った。
さっきと変わらず余裕じみた表情であたしを見ていて、何?とでも言う様に首を傾げている。
──聞き間違いじゃ、ない?
一瞬、聞き間違いかと思ったけど、チヒロの余裕な顔を見て直ぐにそうではないと気が付いた。
だって、チヒロの表情が言ってる。
さっきの言葉は聞き間違いではないと。
あたしを通り越して充くんを見ているその意味有りげな表情が、ハッキリとそう告げている。
一体、どういう事……?
茶番劇?充?
分からない。
意味が分からないっ……!
「充、くん……?」
完全に状況を把握しないまま恐る恐る振り返れば、震い上がる程冷たい瞳と視線がぶつかった。
それと同時に掴んでいた手が思いっきり振り払われる。
「みつ──」
「ウザイんだけど。名前、呼ばないでくれない?アンタに呼ばれると虫唾が走る」
「……っ」