Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「カレー……?」
その言葉を耳で捉えた瞬間、一つの推測が脳裏を駆け抜けた。
“カレー”
その言葉を聞いて反応出来るのはきっとこの場ではあたしとチヒロしかいないだろう。
高速で巻き戻される記憶。
それがある“答え”を導き出してくれた。
嫌な汗が一筋、背中を伝う。
──きっと、きっとあたしの推測は当たってる。
「充くんが、仕向けたの?」
意を決してそう問い掛ければ、
「──ご名答」
充くんの口から告げられたのは完全なるイエスの返事。
清々しささえ感じられるその微笑みはとてもじゃないけど嘘をついている様には見えなかった。
「………」
あたしは何の返答も出来ず、沈黙だけが静かに過ぎ去っていく。
……解っていた。解っていたんだ。充くんがそう応えるって心の何処かで解ってた。
でも、それでも心のどこかで否定して欲しいと願ってたんだ。
……馬鹿だ。本当に馬鹿。
これまでの会話を経てもまだ充くんを信じていたなんて、あたしは本当に大馬鹿者だ。
充くんは鳳皇じゃない。
あたし達の敵。
「仕向けたって言っても、あの状況は本当に“偶然”だったんだよ。
アンタがカレーの話を持ち掛けて来なければ、あの時、アンタに遥香さんと桐谷さんの関係を告げる事はなかった」
あたしがカレーを差し入れしようとしなければチヒロの言葉を聞かずに済んだってこと?
「まぁ、どっちにしてもアンタには二人の関係を言うつもりだったけどね。あのタイミングで言うのが一番自然で効果的だったから言っただけ」
「……っ」
クスッと小さな笑みを零した充くん。
その笑みに胸がギリッと悲痛な音を立てる。