Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「あの時の会話は俺の本心だった。何故“こんな状況になっても鳳皇に入れないのか”。アンタが良くて遥香さんが駄目なのか、その理由がどうしても分からなかった」
「………」
「桐谷さんは確かに言ってたよ。“遥香を危険な目に合わせない為だ”って。だから“公表しない”って」
目線が下がり、苦悶の表情を浮かべながらそう吐き出した充くん。
無理矢理搾り出したかの様なその声は微かに震えている様に感じた。
「遥香さんはそれを受け入れてた。桐谷さんの気持ちを解っていたから」
──浮かび上がる。
遥香さんのあの言葉が。
“外でデートが出来ないのは付き合う前から分かってた。十夜と付き合えるのならそんなのどうだってよかったの”
遥香さんの哀しそうなあの瞳が……震えたあの声が脳裏にハッキリと浮かび上がる。
「桐谷さんが遥香さんの事を大事にしてるのは知ってた。けど、遥香さんの本心には気付いてなかった」
遥香さんの、本心……。
「桐谷さんから一度離れたアンタになら解るよな?隣に居られない哀しみが。一緒に居たいという強い想いが」
──解る。
解るよ。痛い程解る。
解るからこそ遥香さんの話を聞いた時その想いの強さに驚愕し、感嘆したんだ。
「遥香さんと何を話したか知らないけど、それが遥香さんの本心全てだと思うな。
俺はずっと遥香さんの傍に居た。ずっと見てきたんだ。
哀しんでる遥香さんの姿を、……ひたすら我慢し続ける遥香さんの姿を、苦しんでいる遥香さんの姿を、俺はずっと見てきた」
「……っ、充、くん……」