Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「まぁ、今更そんな事どうでも良いけど」
「………え?」
どうでも、いい……?
さらりと。
本当にどうでも良さそうな口振りでそう言った充くんにまた一つ、疑問が生じた。
充くんは一体何がしたいの?
「……じゃあ、なんで?」
そう言ったあたしに、充くんはこの場にそぐわない爽やかな微笑みを零す。
その微笑にまた眉を顰めた。
「“コレ”はただの布石に過ぎない」
「……布石?」
「そう」
ただの布石。
そう紡いだ充くんの口元は、さっきから変わらない微笑。
……なんだろう。この奇妙な感覚。気持ち悪い胸中。
まるで何かが背後から迫って来るような、そんな嫌な感覚が胸中を襲う。
「まだ、思い出さない?」
「……え?」
思い出す?
緩やかに首を傾げた充くんを見て、新たな疑問が沸き起こる。
何を、言ってるの?
「驚いた。本当に思い出さないんだな」
「………」
「ムカツク」
真正面から向けられる敵意。
その敵意に圧迫され、言葉が出てこない。
流れる沈黙。
倉庫内は数十人という大人数が居るとは思えない程静まり返っていた。
その静けさを打ち破ったのは──
「まだあるんだよ。アンタの知らない事」
充くんの地を這うような低い声。