Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
『……アイツ?』
金髪の男の一言に目を見開いた。
男の言った“アイツ”。
それが遊大の事を言っているのだと直ぐに解った。
『あ?あぁ、アイツ……ってか、どこの誰だか知らねぇけど』
反応したあたしに気を良くしたのか、勝ち誇ったかの様な表情でフッと笑みを零す男。
『弱ぇくせに俺に楯突くからボコボコになんだよ』
『ハッ。んな事言ってお前も結構殴られてたじゃねぇか』
『あ?うっせぇ。最初は手加減してやってたんだよ』
『嘘つけ』
あたしがそのボコッた男の知り合いだとは微塵も思っていないのだろう。
男達はその時の状況を声を弾ませながら談笑し始めた。
弱いくせに自分達に楯突いてきただとか、瀕死になった男をサンドバックにしてやっただとか。
遊大を物の様に扱った事を事細かく話す男達に再び怒りが湧き上がってくる。
『……アンタが』
『あ?』
──本当は。
『アンタが遊大をあんな姿にしたんだな』
本当は、直弥さん達が来るまでだんまりを突き通すつもりだった。
だけど。
『アンタが遊大を!!』
遊大をこんな風に言われて、黙ってなんていられなかった。
『……へぇ。お前、アイツの知り合いだったのか』
──ニヤリ。
男は薄気味悪い笑みを浮かべたかと思うと、足を一歩前へと踏み出し、あたしの顔を至近距離で覗き込んできた。
そして、フッと小さく鼻で笑う。
『もしかして、俺等を捜してた訳?』
『………』
『捜し出して仇を討ってやるーってか?』
『………』
『ハッ、泣かせる話だねぇ。あんな雑魚の為にわざわざこんなとこまで追い掛けてきて』