Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
『総長に、命令された?』
やっぱり。
『お、オイ、吉川』
『俺等、よく分かんねぇけど、“総長”に命令されたら逆らえねぇじゃん?だからしょーがなくやったの』
『……命令されて、しょうがなく?』
『そう。命令されてしょうがなく、ね』
『吉川!んな勝手な事言って──』
『いーから黙ってろ』
……やっぱり、遊大は故意に狙われたんだ。
県なんか関係なく、獅鷹の持ってる“トップ”を奪う為に狙われた。
それを命令したのはこいつ等のチームの“総長”
『お前、仲間の仇を討ちに来たんだろ?じゃあ“総長”のとこ行けば?』
『……っ、吉川!?』
『命令したのは“総長”だぜ?』
命令したのは、総長。
その言葉は今の私にとって一種の暗示のようなものだった。
悪いのはコイツ等じゃない。
遊大を狩るよう命令した“総長”だ。
『ウチの“総長”は黒髪の長身』
黒髪の、長身。
『吉川、おま、それ……ッ!』
『黒髪は倉庫内じゃ“総長”だけだ。それと、桁外れな美──』
『ちょ……っ!』
唯一の、黒髪。
それだけ聞けばもう十分だった。
続きを聞いてる余裕なんて今のあたしには無い。
振り返る事無くその場から駆け出したあたしは、目と鼻の先にある“白狼”のアジトに向かって無我夢中に走った。
この時のあたしは怒りに支配されていて直弥さん達が此方に向かっている事さえ忘れていた。
そして、三人の男達が金髪男の言葉を聞いて焦っていた事も全然目に入っていなかった。