Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
やっぱりコイツがトップだったか。
トップだと分かった途端胸底から込み上げてくる憎しみと苛立ち。
それは一年前に必死に押し込んだ感情だった。
コイツ等が遊大に重傷を負わせた。
そう思うだけでしまいこんだ感情が再び舞い戻ってくる。
「……それにしても聞いてた通り見事な化けっぷりだな」
俺の感情を微塵も知らない男はククッと喉を鳴らすと、俺の身体を上から下まで舐め回すように見てきた。
愉しげに浮かべられた笑みが余計に俺の感情を高ぶらせる。
「………」
けど、この状況でキレる程俺は馬鹿じゃない。
男だとバレて困るのは自分だ。
だから、感情を押し殺し、バレないよう無言を貫く。
「そんなに睨むなよ。鳳皇の“元凰妃”様?」
「……っ」
「おぉっと、ごめんな。傷口抉って」
コイツ……。
謝っているのは口先だけで、ニヤついた表情(カオ)は少しも悪いと思っていない。
茶化した口調もニヤついた口角も、何もかも俺を煽っているように見える。
無理矢理押さえ込んだ感情が胸底から再び沸き上がってきた。