俺様黒王子とニセ恋!?契約
何ごと!?とギョッとする私の周りで響く、なんとも豪快な笑い声。
彼が辿り着いた何かの答えが、とても痛快だったことを物語っている。


私には何が何やらわからないけれど。


「クックックッ……。そっかそっか」

「……?」

「ああ、いや、ごめん。きっと四宮さんには全くわからないよね」


ひとしきり愉快痛快な笑いを独り占めして満足いったのか、静川はようやく私に意識を向けてくれた。


「あの……?」


共有してくれるのかと思いきや。


「さて。良ければ家まで送るよ」


静川さんの言葉は期待を逸れて、私はほんのちょっとガッカリした……けれど。


「えっ! いえいえ、そこまでしてもらっては……」


今日ここに連れて来てくれただけで十分だ。
これ以上甘えてはいけない、と思うのに。


「あ、家の場所俺に知られたくないとかだったら、駅まででも。その場合は、少しだけお茶に付き合ってもらおうかな」

「静川さん、あの……」


何故だかいきなり強引な静川さんに戸惑いながら、私は先に立って歩き出す背中について歩く。
一歩前から軽く振り返って、静川さんは悪戯っぽく微笑んだ。


「篤樹から口止めされる前なら、教えてやれるから」

「え……?」


篤樹の名前が出されるだけで、ドキッとした。
それだけで、有無を言えなくなる。


私の反応にとても愉快そうに肩を揺らして、静川さんは来客用駐車場に向かって歩いて行った。
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