俺様黒王子とニセ恋!?契約
結局、私は高校の最寄り駅の駅前にあるカフェで、静川さんと向き合って座った。
ちょうど午後三時のティータイムに差し掛かっていたので、私も静川さんも飲み物だけじゃなくスイーツを注文した。


静川さんはガトーショコラとブレンド。
私は散々迷った挙句、ストロベリーワッフルとココアをチョイスした。


店員さんが運んで来てくれると、静川さんは早速フォークを手にする。
粉砂糖が塗された、割と素朴な形のケーキを一口運んで……。


「美味いっ」


とてもご機嫌な声を上げる静川さんに、私はつい笑い出してしまった。
それを見て、静川さんはちょっと拗ねるように頬杖をついた。


「何、そのどっか上からの笑い方」


そう言われて、慌てて背筋を伸ばす。


「す、すみません! 全然そんなつもりじゃなくてっ!」

「ふ~ん?」

「あ、いや、本当に。……静川さんも甘い物お好きなんですね」


取り繕うようにそう言うと、「も?」と一言だけ聞き返された。


「えっと……もしかしたら今は違うのかも、なんですけど……」


向けられる視線に軽く委縮しながら、私もフォークを手に取って、ワッフルの端っこを小さく切った。


「篤樹も……高校生の頃は、疲れたら甘い物をバカ食いするって聞いたことがあったから」


そう言いながらフォークに刺したワッフルを口にする。
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