俺様黒王子とニセ恋!?契約
「『澪つくし……』だっけ。君が教えてくれた。篤樹が諳んじたっていう和歌」
「は、はい……」
「あのさ。篤樹が源氏物語に出て来る和歌をタイミング良く諳んじられるほど、古典に精通した男だと思う?」
「え?」
そう言われて、私はパチパチと何度か瞬きをした。
「俺もそうだけど、中学や高校時代に呪文のように唱えさせられた平家やら奥の細道やら……今もつるっと口を突いて出るのは、普通そんなもんじゃないか?」
「……」
それは、その通りだ。
私の古典頭脳も高校三年生で止まっている。
今即座に諳んじられるのは、『祇園精舎の鐘の声』とか、『徒然なるままに』とか『春眠暁を覚えず』とか……。
ああ『春眠』は古典じゃなくて漢文だったか。
だからこそ、私の名前のインスピレーションでサラッと言った篤樹に驚いたのだけれど……。
「ちょうどあの頃、古典の授業でそんな和歌が紹介された。いつもは授業の話題なんか出すようなヤツじゃないのに、妙に憑かれたように『澪つくし、澪つくし……』って諳んじてたっけ」
「篤樹が?」
「は、はい……」
「あのさ。篤樹が源氏物語に出て来る和歌をタイミング良く諳んじられるほど、古典に精通した男だと思う?」
「え?」
そう言われて、私はパチパチと何度か瞬きをした。
「俺もそうだけど、中学や高校時代に呪文のように唱えさせられた平家やら奥の細道やら……今もつるっと口を突いて出るのは、普通そんなもんじゃないか?」
「……」
それは、その通りだ。
私の古典頭脳も高校三年生で止まっている。
今即座に諳んじられるのは、『祇園精舎の鐘の声』とか、『徒然なるままに』とか『春眠暁を覚えず』とか……。
ああ『春眠』は古典じゃなくて漢文だったか。
だからこそ、私の名前のインスピレーションでサラッと言った篤樹に驚いたのだけれど……。
「ちょうどあの頃、古典の授業でそんな和歌が紹介された。いつもは授業の話題なんか出すようなヤツじゃないのに、妙に憑かれたように『澪つくし、澪つくし……』って諳んじてたっけ」
「篤樹が?」