俺様黒王子とニセ恋!?契約
そうだろうか?
この間、仕事帰りに会った時よりカジュアルだけど、大して変えたつもりはない。
白いタートルネックニットに、グレーのハーフパンツ。
その下には防寒対策で黒いタイツ。
休日仕様でオフィスには着て行かない白いダウンジャケットを着込んでいるけれど、メイクはいつもと変わらないし、髪はセットするのが面倒でサイドに寄せて一つにまとめただけだ。
むしろ、静川さんの方が全然印象が違う。
もちろんこの間はスーツだったけど、今日は相当カジュアルだ。
ざっくりした黒いVネックニットに色の落ちたデニム。
車だからか、アウターは後部座席に置かれている。
助手席に招かれて、私は緊張しながらシートベルトを締めた。
ほんの数ヵ月だけ『お付き合いした』最初で最後の彼がいたのは、大学生の時だった。
車でお迎えなんて初めてで、彼氏じゃないのにソワソワする。
けれど、向かう先はこの駅から車で十分もかからない場所にある懐かしい母校だ。
ほんのひと時の会話の流れで、言いそびれていた『南高卒業生』の事実を話すと、静川さんは本当に驚いて目を丸くした。
「えっ、そうだったの?」
「はい。なのに、わざわざお迎えしてもらって、すみませんでした」
そう言って謝ると、運転席から、へえ~と間延びした声が返ってきた。
「いや、それはいいけど。……でも、そっかあ。それなら篤樹が弓道やってることも知ってるし、弓道場でのアイツが鬼なのも知ってるか」
この間、仕事帰りに会った時よりカジュアルだけど、大して変えたつもりはない。
白いタートルネックニットに、グレーのハーフパンツ。
その下には防寒対策で黒いタイツ。
休日仕様でオフィスには着て行かない白いダウンジャケットを着込んでいるけれど、メイクはいつもと変わらないし、髪はセットするのが面倒でサイドに寄せて一つにまとめただけだ。
むしろ、静川さんの方が全然印象が違う。
もちろんこの間はスーツだったけど、今日は相当カジュアルだ。
ざっくりした黒いVネックニットに色の落ちたデニム。
車だからか、アウターは後部座席に置かれている。
助手席に招かれて、私は緊張しながらシートベルトを締めた。
ほんの数ヵ月だけ『お付き合いした』最初で最後の彼がいたのは、大学生の時だった。
車でお迎えなんて初めてで、彼氏じゃないのにソワソワする。
けれど、向かう先はこの駅から車で十分もかからない場所にある懐かしい母校だ。
ほんのひと時の会話の流れで、言いそびれていた『南高卒業生』の事実を話すと、静川さんは本当に驚いて目を丸くした。
「えっ、そうだったの?」
「はい。なのに、わざわざお迎えしてもらって、すみませんでした」
そう言って謝ると、運転席から、へえ~と間延びした声が返ってきた。
「いや、それはいいけど。……でも、そっかあ。それなら篤樹が弓道やってることも知ってるし、弓道場でのアイツが鬼なのも知ってるか」